研究し続けよう。
化粧品の常識を
覆すために。

R.T
研究所 粧材グループ
2011年新卒入社

研究開発の仕事に失敗や苦悩はつきもの。それでも挑戦し続けるのは、まだないものを生み出したいという、飽くなき探究心があるからでした。

pic

まだないものを
生み出す仕事。

私は研究所の粧材グループで製品設計を担当しています。当社の主力製品であるグリセリンやポリグリセリンに別の物質を組み合わせ、新しい機能を有した化粧品原料を生み出す業務です。製品設計は原料を開発するだけでなく、その原料が実際に製造できる状態まで落とし込みます。ひとつの原料を生み出すまでに5年、10年かかることも珍しくありません。長い年月をかけて研究することは忍耐のいることですが、それでもまだないものを生み出すことにやりがいを感じています。また、新たな原料開発に繋げるため、外部研究機関とグリセリンの保湿機構を解明する共同研究も行なっています。

pic

企業での研究開発の難しさに悩んだ若手時代。

学生時代に経験した研究と、企業での研究開発には目的に大きな違いがあります。学生時代の研究の目的は「これまでに誰もつくったことがないものを合成する」ことでした。そのため、つくったものが市場でどう活きるかについてはあまり意識していませんでした。一方で、企業での研究開発の目的は「新しい製品や機能を生み出す」ことであるため、市場での価値が求められます。また、製品の場合であれば、何万トンもの量で製造が可能である必要もあり、ラボで合成できる=完成ではありません。今でこそ私は企業での研究、特に製品開発に楽しさを見出し、向いているとも自負していますが、入社当初は「市場での価値」の見出し方を理解できていなかったため、やる気はある一方でなかなか結果を出せず悩む日々を送っていました。

4年間トライアンドエラーを繰り返したSCIS-101。

印象に残っている仕事は、入社5年目のときに取り組んだ微粒子酸化チタンの分散剤「SCIS-101」の開発です。微粒子の酸化チタンには紫外線を反射する効果があり、日焼け止め化粧料に配合されています。酸化チタンのような細かい金属粒子を化粧品に均一に入れることは難しく、分散剤が必要です。紫外線の反射効果を高めるためには、酸化チタンを油の中に微細に分散させる必要がありますが、従来の分散剤では性能が不足しているため、実際に化粧品を肌に塗布した際に、酸化チタンが白く浮きでたり、紫外線の反射効果が不十分であるという課題がありました。そこで、ポリグリセリンをベースにした新しい分散剤はできないかというテーマが上がったのです。まずは油剤に溶けやすくするため、ポリグリセリンとイソステアリン酸を組み合わせました。しかし、酸化チタンへの吸着力が足らず、酸化チタンを油に分散させることができませんでした。吸着力を増加させるためにはどの物質が必要か考えを巡らせ、試験を繰り返し、行き着いた先はコハク酸でした。コハク酸を組み合わせたところ、驚くほどスムーズに機能を発揮したのです。

pic

組み合わせが決まれば、次は実製造のためのスケールアップに移ります。スケールアップは原料開発での難所とも言われるフェーズです。組み合わせが決まってもスケールアップができずに製品にならなかった事例もたくさんあります。今回も、一度は実機製造に失敗し、1000kgの廃棄物を生み出してしまいました。私たちは時間をかけ、必死で原因を調べました。すると、思いもよらないところで失敗の原因が発覚したのです。どれだけ準備をしていても、まさかの事態は起こりうるのだとそのとき実感しました。スケールアップの壁を乗り越え、無事に製品化した分散剤SCIS-101は国内に加え、自社では初となる海外での特許の権利化にも成功しました。SCIS-101が配合された化粧品を自分で購入したときは、成果がやっと形になったことを実感し、とても嬉しかったと記憶しています。

あくなき探究心が、
私たちを動かす。

いま、私はオイルゲル化剤の開発に取り組んでいます。これは油分を凝固させる他、崩したときの感触を滑らかする機能を持った原料です。あらゆる化粧品に応用できるため、化粧品業界に新たな可能性をもたらすでしょう。化粧品のほとんどは、古くから使われている原料の組み合わせで生み出されています。これまでにない機能を持つ化粧品を開発するために、新たな原料の開発が求められているのです。化粧品の未来を切り拓いていきたい。私たちはそう強く想っています。目指すのは、当社の原料の組み合わせで、全ての化粧品をつくること。当社のグリセリンをベースにした植物由来の化粧品は肌に優しく、またサスティナブルな社会に貢献することができます。この野望が叶うまでに、また長い月日が必要でしょう。それでもきっと、やり遂げてみせる。研究開発は時間がかかり、失敗も多くあります。つらく、投げ出したいときもあります。それでも私たちは自分の頭で考え、突き詰め、何度も繰り返し挑戦していく。まだないものを生み出したいというあくなき探究心が、私たちを動かし続けるのです。

pic

語れるものは
あるか。

研究し続けよう。
化粧品の常識を
覆すために。

R.T
研究所 粧材グループ
2011年新卒入社

INTERVIEWインタビュー

VIEW MORE

RECRUITRECRUIT